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コレラは、口から入ったコレラ菌が小腸で増殖し、産生された毒素のために嘔吐や下痢が起こり、重い脱水症状を引き起こす病気ですが、最近、世界各地で流行しているコレラは、毒性の弱いエルトール型コレラ菌によるものが主体で、症状が経く、一日数回の水様便があるだけで、単なる下痢と同違えられることもあります。
やはり、海外旅行で感染の可能性があるときには、便の培養検査をしてもらうことです。
症状が軽いといって単なる下痢として放置しておくと、保菌者として家族や周辺の人々にうつすことになるわけです。
東南アジアなどの流行地を旅行される際には、コレラの予防接種をしておくとよいでしょう。
また、流行地では生水や空ものは大変危険ですので、加熱調理したものを食べることです。
また、用便後や食事前には手洗いを励行することです。
マラリアも輸入感染症の一つで、病原体であるマラリア原虫を保有したハマダラ蚊に刺されて起きる、いわゆる経皮感染症です。
ハマダラ蚊を経て体内に入ったマラリア原虫は、肝臓の細胞の中で増殖したあと、赤血球内に入ってこれを破壊し、さらに増殖を続けます。
マラリアの主な症状は、発熱発作、貧血、脾臓の腫れです。
マラリアには原虫の違いにより、三日熱、四日熱、卵形マラリア、熱帯熱マラリアがありますが、熱帯熱マラリアは、高熱、意識障害、けいれん、脳炎、腎不全などを伴うことが多く、悪性マラリアと呼ばれています。
マラリアを予防する確実な方法はありませんが、流行地へ旅行するときは、ピリメサミンとサルファ剤の混合であるファンシタールを内服することで、かなりの効果があるようです。
また、流行地では、蚊の発生する時間帯には外出しないこと、また、長袖を着て、露出部には防虫スプレーを吹き付けるなど蚊に刺されないようにすることです。
伝染病はけっして影の簿<なった病気ではありません。
これを防ぐには個人の自衛策も大切であることを強調しておきます。

 

 

 

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